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- 過去ログ - 犬とミニマルな暮らし
この記事の最終更新日は 2021年6月28日 です。現在は状況が異なる場合がありますので予めご了承ください
お雛様と一緒に犬の置物があるけどあれって何?
今回の記事でわかること。
桃の節句のひな壇に飾られる、不思議な犬の箱の歴史や由来がわかります。
日本の古い宮中のしきたりを知ることができます。
御伽犬(おとぎいぬ)、犬筥(いぬばこ)に込められている願いがわかります。
何とも不思議な御伽犬・犬筥には、知られざる魅力がたくさんありました。
目次
御伽犬(おとぎいぬ)・犬筥(いぬばこ)とは?
犬筥とは
こどもが無事に何事もなく、平穏に暮らせるよう祈るため枕元に置かれたり、婚礼など祝儀の際や出産のお守りとして用いられていたそうです。また、江戸時代には桃の節句のひな壇に飾られるようになりました。
前髪を水引で結び、折がたを型どった胴には松竹梅や鶴亀等のおめでたい文様を華麗な彩色を施し、吉祥の願いがこめられているとのことです。
犬の形をした男犬・女犬から成る一対の張子人形の箱で、お伽犬(おとぎいぬ)、宿直犬(とのいいぬ)とも呼ばれています。
犬の形をした小箱で、顔は幼児に似せ、身体は伏せた犬の姿をしています。雌雄一対で、左向きが雄、右向きが雌となっています。
犬筥(いぬばこ)と聞いてもわかるように、犬筥は体が上下に分かれる“箱”になっています。中には小物を入れられるようになっていて、雄には安産のお守り、雌には化粧道具をいれていたといわれています。
犬筥は人形用のミニチュアのため15㎝前後のものが多いようですが、実物は30~40㎝ほどの大きさがあったそうですよ。それくらい大きいなら、「化粧道具を入れた」ということも納得できますね。
お伽犬・犬筥の素材
顔は幼児に似せ、身体は伏せた犬の姿を模してつくられた張子の箱です。
江戸の犬張子の原型ともいわれています。
現在は、陶器製でできたものがメインで販売されています。
作家さんによって、木彫り、木目込み、焼き物などいろいろな素材、表情豊かなものもあるので、探してみるのも楽しいですよ。
御伽犬・犬筥の歴史と由来
お伽犬・犬筥の歴史
元々は、平安時代にけがれや災いを祓うため、宮中の御帳台(みちょうだい)の左右に狛犬(こまいぬ)の像を置いたのがはじまりとも言われています。
そのためか雌雄一対で飾られ、向かって右の雄は口を軽く開けて「あ」、向かって左の雌はしっかりと口を結んだ「うん」の姿で向かい合っています。
帳台(ちょうだい)とは、平安時代に貴人の座所や寝所として屋内に置かれた調度のこと。御帳台(みちょうだい)、また御帳(みちょう)ともいう。高御座(たかみくら)は、日本の天皇の玉座。皇位を象徴する調度品で、歴史的で伝統的な皇位継承儀式の即位の礼において用いられ、皇位と密接に結びついている。現在の高御座は、皇后の玉座たる御帳台とともに京都府京都市の京都御所紫宸殿に常設されている。
引用元:Wikipedia
*御帳台と画像検索くださいね。いっぱい出てくるので、なるほど~と理解できます。
お伽犬・犬筥の由来
平安時代宮中の縁起物、御伽犬に由来すると言われます。
宿直犬(とのいいぬ)とも言われ、公家や武家では*天児(あまがつ),這児(ほうこ)と共に生まれてくる子供の安産と健やかな成長を願って、犬筥がお守りとして用いられるようになりました。
産後は、子供の守り神や幼児の無事息災を祈り、お守りとして枕元に置かれたそうです。
やがて貴族や公家などでは、御伽犬・犬筥を嫁入り道具として、持参したとのこと。
犬は多産であり、またお産が軽く、産後の肥立ちも良いので、いつの時代もあやかろうということでしょうね。
江戸時代にはお嫁入り道具に加えられ、安産のお守りから幼児の魔よけのお守りともなり、雛道具の一つに加えられて桃の節句に華やぎを添えます。
そして庶民のひな祭りに置く犬筥となったようです。
*天児(あまがつ)、這児(ほうこ)についての記事はこちらをお読みくださいね。
【大人の教養・日本美術の時間】安産や赤ちゃんのお守り天児・這児、犬筥
お伽犬・犬筥の役割
お伽犬・犬筥の役割って何だと思いますか?
- 犬は安産・多産の象徴であり、子犬は丈夫に良く育つことから、安産と幼児の無病息災を祈るお守りとして飾られたことは先に述べたとおりです。
昔から、犬は外敵から人を守ってくれる存在であったので、厄除けや魔除けとして、雛人形の隣に飾られてきました。
-
- ひな祭りの丁度
- 女性に幸せを呼ぶお守り
- お嫁入り道具
- 犬のようにお産が軽くなるように
- 子孫繁栄の象徴
- 子供の無病息災
など、たくさんの思いが込められているお守りなのですね。
御伽犬・犬筥のモデル犬は?
昔は飼ってる人、結構いたんですけどね。狆(ちん)という種類の日本原産のわんちゃんです。鼻ぺちゃ犬なんですね~可愛いですよね。
お伽犬・犬筥の飾り方
室町時代ころ
犬はお産が軽く、子どもの成長がよいとされることから、室町時代あたりからお産をする部屋に飾られたそうです。
- 左向き(向って右)が雄犬で安産のお守りを納め、右向き(向って左)が雌犬で白粉や玩具が納められておりました。
子供が生まれたら産着をまず犬筥に着せてから、それを子供に着せたとのこと。
今でも宮中ではお誕生の時には、必ず犬筥を置いて魔除けをする風習が残されているそうですよ。しきたりが残ってるってなんかいい感じ。
江戸時代
江戸時代には、雛道具の一つに加えられているということはわかったんですが、お雛様のどこに飾るの?という素直な疑問にぶち当たってしまいました。
いろいろと調べてみたんですが、「絶対にここ!」という資料がなかなかみつからなくて。
元々は雛人形の雛道具ではなかった、ということなので、「好きなように飾ればいいんじゃない?」というのが素直な気持ちとミムラなりの回答。
いろいろと画像を検索してみたけど、やっぱり決まりはないようで・・・。
・お内裏様(殿と姫2人のことを言うんだって)の両脇にちょこんと座ってる御伽犬
・お内裏様の前に2匹(と数えてよいのかわからんが・・・)並んで座ってる
・雛道具と一緒に飾られているお伽犬もいる
・イベントとなれば、御伽犬様オンリーで大小さまざま、デザインさまざま、たくさん飾られていたものもあり
自分が大切に「ここに飾りたい」ってところが一番いいんだと思います。
お伽犬・犬筥の現在は個性的な利用のされ方をしています
- 現在ではご結婚のお祝いや初節句などに、個性的なお祝いとして利用されているようです。
京都の下鴨神社で挙式をあげると、御祝い品でいただけるそうなんですよ~。
①ペアのお守り
②ペアのお肴
③鴨の御伽犬(おとぎいぬ)
(左は亀模様、右は鶴模様が描いてあるお伽犬だそうです)
初節句の場合ですが、雛人形にお伽犬が必ずついてるわけではないので、購入の際は、確認してくださいね。
まとめ
御伽犬・犬筥について簡単にまとめていきますね~。
・犬の形をした張り子の箱で、顔は幼児に似せ、身体は伏せた犬の姿をしている
・現在は陶器製のものがほとんど
・雌雄一対で、左向き(向かって右)が雄犬で安産のお守りを納め、右向き(向って左)が雌犬で白粉や玩具が納められた
・こどもが無事に何事もなく、平穏に暮らせるよう祈るため枕元に置かれたり、婚礼など祝儀の際や出産のお守りとして用いられていた
・江戸時代には桃の節句のひな壇に飾られるようになった
・モデル犬は狆(ちん)という種類の日本原産の犬種
・現在ではご結婚のお祝いや初節句などに、個性的なお祝いとして利用されている
戌年で犬が大・大・大好きなミムラは、どうしても「犬」に目がいってしまう。
でも、なぜかユニークな犬なんだよなあ・・・。
こちらも自然と笑顔になってしまうからなのかもしれませんね。