この記事の最終更新日は 2021年5月2日 です。現在は状況が異なる場合がありますので予めご了承ください

遺伝性乳がん卵巣がん症候群患者に朗報、予防切除2020年4月より保険適用!

 

2人に1人は、がんを発症すると言われるようになりました。

毎年、日本で乳がんと診断されるのは約95000人、卵巣がんと診断されるのは約9800人。

 

先日、遺伝性乳がん卵巣がん症候群の患者を対象に、予防切除保険適用できるようになるそうです。

 

予防切除をすることにより、新たな発症や死亡のリスクが低くなることがわかっています。

 

しかし、手術費用が数十万円と高額なことから、学会や患者が求めていた保険適用が認められたということですね。

 

遺伝性乳がん卵巣がん症候群というと、アメリカのハリウッド女優・アンジェリーナジョリーさんが、両側乳房切除術と両側卵巣卵管摘出術を行ったことで、一時話題にもなりました。

 

今回は「遺伝性乳がん卵巣がん症候群」と、予防切除について、できるだけわかりやすく、まとめてみたいと思います。

 

目次

遺伝性乳がん卵巣がん症候群患者に予防切除、2020年4月より保険適用 遺伝性乳がん卵巣がん症候群をわかりやすく説明したい!

 

「遺伝性のがん」の種類の1つです。特定の遺伝子に生まれつき病的変異があることで、明らかにがんに罹患しやすいことを「遺伝性のがん」と総称します。

 

人間は遺伝子を持っていて、遺伝子は人の設計図みたいなもの。体を作るための情報や、機能を維持するための情報をもっています。

 

ヒトの遺伝子の数は、2万1306個(2018年時点)

 

遺伝性乳がん卵巣がん症候群患者に予防切除、2020年4月より保険適用

 

 

BRCA1遺伝子とBRCA2遺伝子は、誰もが持っています。17番染色体にはBRCA1遺伝子、13番染色体にはBRCA2遺伝子があります。

 

これらの遺伝子のどちらかに生まれつき病的変異があると、「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」と診断されます。

 

 

ハリウッド女優、アンジェリーナ・ジョリーさんを例にみていきますね。

 

アンジェリーナジョリーさんは、BRCA1遺伝子に変異が見つかり、その結果、生涯で乳がんが発症するリスクが87%あるとの診断を受けたそうです。

 

乳がんや卵巣がんのうち遺伝性といわれているものが5〜10%、遺伝子変異を受け継いでいない人と比べて、発生の確率は10倍以上も高くなるとのこと。

 

彼女の場合は、遺伝子検査を受け、予防的切除(リスク低減手術)を選択して、乳がんや卵巣がんになるリスクを取り除いた、というわけです。

 

で、今回はその予防的切除(リスク低減手術)が遺伝性乳がん卵巣がん症候群患者の場合、保険適用となったということですね。(2020年4月より)

 

 

遺伝性乳がん卵巣がん症候群患者に予防切除、2020年4月より保険適用 BRCA1、2遺伝学的検査についていろいろ!

 

遺伝学的検査とは?

• 遺伝性のがんの可能性が考慮される際、その原因となってい
る遺伝子に病的変異があるかどうかを調べる検査です。
• 生まれたときから持っている遺伝情報を調べるため、生活習
慣等を変えても、遺伝子の状態は変わりません。

引用元:日本HBOCコンソーシアム

 

遺伝子学的検査の方法

体の中の細胞にある遺伝子情報はすべて同じです。

遺伝子学的検査には、採血した血液を検査します。

 

検査費用はいくら?

保険が適用となる場合・・・がん治療のための薬剤選択目的とするとき

保険外となる場合・・・薬剤選択目的以外のときですが、医療機関によって違いがあります。

 

採血した血液で、遺伝子学的検査というのはできるんですね。もっと複雑な検査を想像していたので、ちょっと拍子抜けでした。

 

遺伝子学的検査が受けられる年齢は?

遺伝性乳がん卵巣がん症候群の場合、がんを発症するのは20歳以降と言われているそうです。成人してからの検査となります。自分でよく考えて受けることが大切ですね。

 

遺伝学的検査について、相談できる病院は限られています。遺伝科や遺伝外来がある病院に相談することになります。

 

最近では、相談できる病院も増えてきているそうです。

 

 

遺伝性乳がん卵巣がん症候群患者に予防切除、2020年4月より保険適用 予防切除(リスク低減手術)のメリット・デメリットとは

 

予防切除:リスク低減乳房切除術・RRMとは

予防的に乳房切除を行うこと

・乳癌既発症者における対側の予防切除(リスク低減手術)
・乳癌未発症者における両側の予防切除(リスク低減手術)

 

リスク低減乳房切除術・RRMのメリット

乳癌の発症リスクが減少する
乳癌既発症者における対側の予防切除では、生存率の有意な改善がみられる

 

リスク低減乳房切除術・RRMのデメリット

術後合併症の可能性
乳癌未発症者における両側の予防切除では、生存率の有意な改善はない
定期的な検査で早期発見できる可能性がある

 

 

リスク低減卵巣卵管切除術(RRSO)

予防的に卵巣卵管切除を行うこと

 

 

リスク低減卵巣卵管切除術(RRSO)実施の時期

35歳から40歳の出産終了時、もしくは家系の最も早い卵巣癌発症年齢に基づいてRRSO施行時期を考慮することを勧めている。また、40歳までにRRSOを行うことで卵巣癌・卵管癌の発症リスクを下げると同時に乳癌発症リスクも低下することが報告されている

 

リスク低減卵巣卵管切除術・RRSOのメリット

卵巣/卵管癌の発症リスクが減少する
生存率の有意な改善がみられる
不安軽減効果、医療コストの改善がみられる

 

リスク低減卵巣卵管切除術・RRSOのデメリット

術後合併症の可能性
腹膜癌の可能性は残る(2-5%)
早期閉経の影響(更年期症状、骨密度低下など)

 

 

*乳癌診療ガイドライン2018年版より抜粋しました

 

 

これまでは、デメリットとして「自費診療」で高額な治療費がかかっていましたが、2020年4月より、保険診療となることが決まったため、デメリットから外しました。

 

自費診療となると、乳房切除の場合30万~100万(術式により違いあり)、卵巣卵管切除の場合、100万円前後の費用がかかっていたそうです。

 

これらの金額が保険適用となることから、かなりの負担が軽減できますね(*´▽`*)

 

遺伝性乳がん卵巣がん症候群患者に予防切除、2020年4月より保険適用 お役立ちサイトのご紹介!

 

遺伝性乳がん卵巣がん症候群についてのお役立ちサイトをご紹介します。この記事を書くのにも参考にさせていただきました。

 

初めの2つが一般の方でもわかりやすい情報となっています。

3つ目以降は、医学的情報も多く含まれていますので、医療従事者向けとなっています。

 

ぜひ参考にしていただけたらと思います。

 

 

日本HBOC コンソーシアム(HBOC とは) 

遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)の情報サイト

 

遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)診療の手引 2017年版

日本乳癌学会 乳癌診療ガイドライン 2018年版

日本遺伝腫瘍学会 ガイドラインリンク集

 

 

まとめ

 

いかがでしたか?

今回は、2020年4月より保険適用となる、遺伝性乳がん卵巣がん症候群予防切除について、まとめてみました。

 

近い身内(親・兄弟・子供・祖父母)にがん患者が多い場合は、注意が必要かもしれません。遺伝情報を共有している可能性も考えられるのです。

 

日頃から、自分の体調や変化に気を付けていきたいものですね。

ぜひ、参考にしていただけたらと思います。